一緒に戦うのは、生きている人間という話・後

前回の話の続きでござる。

たった四人の戦場に、ありったけの回復薬を懐に入れて再び降り立つ。
雨のように降り注ぐ攻撃をいなしきった時には拙者はまた満身創痍に陥っていた。
たぶんまた二回か三回くらい斃れた。ぽんべあっだとかいうの許すまじでござる。

だが、それだけの犠牲を払った勝ちのある勝利は手に入れることができた。
混戦の間にクエストポイントが溜まり、拙者達は任務を完了していたのでござる。
これが普通のクエストだったら拙者はさっさとマルチエリアからキャンプシップに戻って次の任務を受注していただろう。
なんせ拙者の目的は金のバッヂ集め。これはごく稀に任務中のEトライアル成功の報酬でもらえる以外はクエストの成功報酬で二個もらえるのしか入手ルートが確定していないのだ。
効率よく金バッヂをためるなら、さっさと次に行った方がいい。一つでも多くクエストをこなした方がいい。
わかっては、いたのだ。

だがしかし、である。

(このまま行ってもよいのであろうか)
今戦場から拙者が離脱すれば、当然拙者と同じパーティーのBさんも離脱することになる。
残る二人のクエストポイントが残りどれだけなのかはわからない。
しかし、それがもしあと少しでクエストクリアできそうな数だったら?
でもそれは、二人でいなしきるのは大変なくらいの数であったら?

(もしそうなら。そして、もしそれで残されるのが自分だったら)

想像してみた。
想像してみたら、めちゃくちゃ悲しい気持ちになった。
だから拙者は行動を起こした。悲しみはできうる限り回避しなければならないのだ。
自分の言葉に頷きつつ、拙者はパーティーチャットを起動し、Bさんにチャットを送った。

「どうしましょうか」
「うーむ」
「ちょっとCOで聞いてみてもよいでござろうか」
「はいな」

Bさんの返事は気前のいい返事でござった。拙者は内心ほっと胸をなで下ろした。
拙者が行動するとしたら、それはBさんも巻き込むことになる。だからちゃんと許可を取らねばならない、と思ったのだ。
思い返してみると、拙者はこの時何をしたい、という旨のことをBさんには言わなかった。
だが、Bさんはわかってくださっていた。ありがたいことでござる。
拙者は構えていた武器をとりあえず背中に納め、オープンチャットを起動して聞いてみた。

「お二人様!拙者とB殿はポイントが溜まったのでクエストを離脱できるのですが、
 貴殿らはポイントたまっておりますか?」

言って、ちょっと考えて、ああこれ回りくどすぎるな、と思ったので、もっかい叫んだ。

「というか、この状態で二人抜けても大丈夫でござるか?」

一気にぶっちゃけたものでござる。戦いすぎて思考回路がオーバーヒートでもしていたのだろうか。
まぁ、気にしちゃいけないというやつでござるな。
もちろん、クエスト中だからすぐの返信は望めない。そう思っていたのだが、案外早く返事がきた。
拙者と同じキャスト族の男性が、ダーカーにかこまれながら短く叫んだのだ。

「たすけて!」

その言葉に、どれほどの思いが込められているのだろうか。
もう一人の方からのお返事は無かった。
しかし一つでも助けを求める声があるのなら、それに答えるのがアークスの責務でござる。
お声を受け、背中にしまったダヴィアルソードを構え、ダーカーに走り寄りながら、拙者は答えた。

「では拙者は微力ながらお助け致す!」
「お供致しますよお」

続いて、Bさんも武器を構えて走り寄った。
そうして、我等は心に灯った熱き思いのままに武器を振るった。
そこからの戦いは、とても満ち足りたものだった。
上手く戦えたとか何か面白いことが起こった、とかそういうことがあったわけではないけれど、
強いて言うなら、そこにはアークスが戦う理由があった。

意地悪な言い方をするのなら、この時拙者は己の英雄的な姿に酔っていたのだろうと思う。
だが、それがどうした。誰に迷惑をかけるでもなく己に酔って戦うことの何が悪い。
楽しく戦って何が悪い。悪いことなんて一つもない。

エル・ダガンの硬質な脳天を斬り砕く。ルーサーの眷属の嘴を叩き折る。
玩具も、虫も、鳥も、何もかも。フォトンの力を持って粉砕する。
持てる力を高揚のままに振りかぶって振り下ろす。最高の時間でござった。

拙者はあの時、間違いなく一人のアークスでござった。





滾るままに戦場で暴れまくり、一息ついた所で件のキャスト殿が「ありがとう、もう大丈夫です」と仰った。
必要な残りポイントが50ポイントを切ったそうな。ああそれなら確かに大丈夫そうだ。
キャスト殿の言葉に頷いた拙者は武器を仕舞い、Bさんを誘ってテレパイプに向かった。
そして転送の間際、ふとおもいついて戦場に向かって叫んだ。

「それでは、お二人ともありがとうございました!
 またどこかで!」

そうして、転送装置を起動する。その場から体が消える間際、拙者のチャット欄にキャスト殿の返事が届いた。

「ありがとう」

この一言と、Bさんと交わしたフレンド登録。それがこのクエストの最高の報酬であったのは、言うまでもない。
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テーマ : ファンタシースターオンライン2
ジャンル : オンラインゲーム

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破棄問題

今回のクエストの場合、抜けてもあとから他の人が入れるクエストなところが焦点やね。
あとから入る人がいついてもおかしくないくらい四六時中賑わってるから、抜けることに対して心理的ハードルが低い。
また仮にリュウカクさんの募集を見て、PTに入る勇気はなくても12人の中には入りたいと思って来た人は、人数が9人を割る前なら、他の人に遠慮して抜けちゃう可能性もある。1PT4人で回る人も結構いるしね、経験値目的に。実際70~75のレベリングは悲しいことに緊急や常設が一番効率良い。
75で頑張ってる人は嫌がるけどね。

あとオープンチャットはOCより白チャって言い方のほうが使ってる人多いかな

最後に、自分に酔えないゲームは主人公になれないね。MORPGなんだから。良い体験で羨ましいよ♪

Re: 破棄問題

コメントありがとうございまする!
確かにそうでござるな~拙者が去る間際に新しい人が一人入ってきたようでござった。
ただ、あのマガツと丸かぶりの時間ではあれ以上の人数増加は望めなかったのではないかな、と思っておりまする。
だからこそ普通に離脱することが躊躇われたのでござる…。

人数が9人を割る前なら遠慮する、って初めて聞いた話でござるなぁ。
そういう人もいるのかとほうほうってなりっぱなしでござった。
まぁ確かに2人でやるより4人の方が効率よく回れた気がしまする。

オープンチャット、周囲チャット、白チャ、白チャ、OC、場合というか気分でころころ変わるでござるw
正直タイピングのスピードに思考が追いついていない所がありましてな!ははは!

自分に酔うのは大事な点でござるよな!
なんだかんだで「かっこよく決めたいよね!かっこよく決めるね!!フゥー自分かっこいい!!」っていう人たちが
一番ながーくこの世界で遊んでくれるんじゃないかなぁと思っておりまする。
プロフィール

リュウカク

Author:リュウカク
es艦、8番艦で活動中のアークスでござる。
種族はキャスト、性別は男性。
微力なれど宇宙の平和のために戦う覚悟はできていまする!

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